「とびうおすくい」

「とびうおすくい」

<トムソーヤクラブ通信Vol.62,2001/09/10,ふれあいランドより転載>                            写真は2004年トムソーヤクラブ村・土肥温泉にて

■静岡県西伊豆の土肥温泉、大藪漁港。7月24日午後7時30分。ライフベストにきりりと身を包んだ小学生6人と共に釣り船に乗りこむ。「ふらふらしてると海に落っこちるから、すわってなよー」との船長の声に「はぁーい」と返事して、みな緊張の面もち。エンジンの音はドクドクと腹にこもり、目指す沖合の海には闇が広がるばかり。
■海岸にならぶ温泉旅館の灯りが遠ざかり、ときおり浜にきらめく小さな花火も見えなくなった頃、釣り船のでっかい裸電球が点灯し、6人の児童に安堵の笑みがひろがる。「さあ、そろそろいいよー」「魚が寄ってくるから、頭の方からサッとすくうんだよー」「頭からだよ、頭から」。船長の声にうながされ、網の直径50㌢ 柄の長さ2㍍ほどのたも網を構えて明るく照らされた海面を見つめる12の瞳。アイドリングするエンジン音。
■へさきからスルスルとヘビのように泳いでくる魚。とり逃す。「サンマの子だったかなー」と船長。その後、数匹のトビウオは寄ってくるがその素早さは小学生の手には負えない。
離れた海面を滑空するトビウオに「もっとこっちへおいでー!」と皆で呼びかける。貸してみな、と網を手にした船長が一匹目をゲット。ピチピチと甲板をはねる音、「さすがー!」「ホントに羽がある」との感嘆。船上はにわかに活気づき、次をねらって輝きをとりもどす表情。
■少しずつ船の場所を変えながらトビウオを待つが、船長も首をひねる程集まりは良くない。少ないチャンスも、慣れない児童には活かしきれない。結果、スタッフが2匹目を獲得し、釣果は2匹。3人の女児は船酔いにぐったり、元気な男児3人は帰港するまでたくましく網を構え続け、トビウオすくいを終えた。
★とったトビウオは、翌日干物にして美味しくいただきました。2001年に開設した「トムソーヤクラブ村・土肥温泉」のひとコマです。

※現在(2012年)、トムソーヤクラブ村・土肥温泉コースは実施していません。                            「とびうおすくい」は土肥温泉旅館協同組合にて、現在も開催中です。詳しくは ↓ へ
http://www.toi-onsen.com/event/detail.php?id=70

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