春の山歩き

春の山歩き

<トムソーヤクラブ通信 Vol.77、2005/06/01、ふれあいランドより転載>写真は2008年7月尾瀬ケ原にて

4月中旬、好天に恵まれた週末の2日間、22名の小学生らと共に和紙の里、埼玉県小川町へと出かけて、春の山歩きを楽しんだ。小川町の和紙の歴史は古く、1,300年も前から和紙づくりが行なわれていたとのこと。

当時、武蔵国には高麗の帰化人が多く、彼らによって手漉きの技術をもたらされたことが小川和紙のはじまりだといわれる。和紙は、寒さが厳しく水が冷たいほど良いものができるという。緑豊かな山々に囲まれた小川盆地、その山あいの槻川や兜川の清流、都心から比較的近いといった条件がそろったことが和紙作りの伝統を育んだ。

散策路を30分ほどあえいでのぼった山の頂(標高300メートル)からの眺めは素晴らしかった。新緑のうすみどりを基調に、オオヤマザクラのピンク、コブシの白等々を配した山々が目を楽しませてくれる。さわやかな風が吹きぬけ、ウグイスがさえずる木陰でのどを潤しひとやすみ。春爛漫とはこのようなことをいうのだろう。

帰り道では、キツツキの「ドゥルルルルル・・・」と言うドラミングを耳にし、一面にツクシが生えた水田跡で感嘆する。その後、かん木の茂みの上で日光浴中のアオダイショウと出会った。児童のひとりが「ナマのヘビを見るのは初めてー」と歓声を上げる。聞けば、動物園やペットショップで目にしてはいるが、自然の中で会うのは初めてとのこと。22名の児童のキラキラの好奇心がアオダイショウを取り囲む。

「冬眠から覚めたばかりで、ひなたぼっこ中だから、そっとしておいたら」との、大人のアドバイスは無視され、ナマのヘビに触れようとする手が2つ3 つと伸びる。ヘビは始めゆっくり首をもたげていたが、ひとりが首をつかもうとすると、素早く茂みの奥へ消えていってしまった。「きゃー!」児童らの喚声が春の野に響く。

さて、旅に出て生活・移動空間を広げること、すなわち「空間刺激」を多く受けること、また見聞きするものすべてを感情豊かにとらえることは、脳に良い発達刺激を与えるらしい。旅には絶好の季節、脳に良い旅を楽しんでほしい!

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