余地峠へ、花を楽しむ旅

余地峠へ、花を楽しむ旅

ホオノキ

<トムソーヤクラブ通信Vol.105,2012/7/18,「ふれあいランド」より転載>

余地峠(よぢとうげ:標高1269m)は古来、群馬県南牧村と長野県佐久穂町を結ぶ重要な幹線であり、信州の米が峠を越えて南牧谷へと運ばれ、南牧からは仔馬、砥石、紙、こんにゃく、ネギが運ばれた。時には馬に揺られて花嫁御寮も通ったという。また武田信玄が上野攻略のために通った軍用路でもあったという。

6月中旬、峠を越えて嫁いでいく花嫁の気持ちを思い、駆ける軍馬のいななきを想像しながら、なんもく村自然公園(標高970m)から峠に至る往復3時間ほどの山歩きを楽しんだ。

この時期の南牧は花の盛り。

■ヤマボウシ:緑滴る中に苞片の白がくっきりと美しい。緑に映えるヤマボウシを眺めるのはこの季節の山の楽しみ。

■トチノキ:木のてっぺんで咲く花々は遠目にはうすいピンク色。太いトチノキの根本で散策道にこぼれた花を舌にのせて甘みを感じてみる。

■ホオノキ:トチノキと同じく木のてっぺんで見事に開いた花を遠くから眺める。標高970mの自然公園付近では今が盛り、一方1269mの余地峠にあるホオノキは、テニスボール大の蕾がクリーム色に輝いてこれから花開く風情。(写真)

■ヤマツツジ:途中、数か所で鮮やかな赤を鑑賞する。低木ゆえに間近に観察できる分、遠目にしか見られないトチやホオの花に比べて感激は少という贅沢な感想。

■ギンリョウソウ:ちょうど盛りの時に巡り合えて、複数の群落を観察。同行した学生たちの多くは初めての出会いで、キノコではなく”葉緑体を持たない植物”という案内に神秘を感じている様子。

花を楽しむ途中、”ヤッホ”をしてやまびこに感嘆し、元気なアオダイショウにも遭遇。「ヘビに触れたことがない」という学生らの声に応え、アオダイショウにはしばらく教材になってもらって「ヘビにさわる」体験も実施。梅雨の晴れ間の良き学習の機会となった。

※参考:余地峠懐古の碑(なんもく村自然公園)

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