「京都府美山町芦生の森」

「京都府美山町芦生の森」

<トムソーヤクラブ通信 Vol.95、2009/12/01、ふれあいランドより転載>写真は2009年10月芦生の森にて

京都・芦生(あしう)の森を発して、美山、綾部、福知山、そして舞鶴と流れる由良川(ゆらがわ)の源流部、京都府南丹市(なんたんし)美山町の田歌(たうた)、芦生(あしう)の地域で秋の4日間を過した。田歌地域に位置する滞在先は標高300㍍。正面には刈り入れを済ませた稲田が広がり、その先を由良川本流が流れる。背後には五波峠(ごなみとうげ)が跨る若丹山地が若狭との境を成す。

滞在先の主は、森歩きのガイド、川下りのガイド、大工、猟師、コメ・野菜作り農家、そして食事店を兼務する。滞在中に頂戴した十数回の食事は、どれも目の前の田畑でつくった米と野菜&漬け物。山で獲ったシカ肉。山で採ったナメコ。近所の養鶏場で分けてもらったトリ肉。と、地域ならでは季節ならではのおいしくて安心安全なものばかり。しんと静かな山里での滞在を経て、心も身体もおなかの中も少し健康になった気分に浸る。

ここ田歌の集落からさらに由良川の上流へとたどると京都大学の演習林「芦生の森」が広がる。うららかな好天のなか、渓谷沿いのトロッコ道をたどって秋の一日を楽しむ。ミズナラ、コナラ、トチノミのドングリ拾いを楽しみ、渓谷の音に耳をすませる。けもの道に残されたシカの足跡、ブナの木の幹に残されたクマの爪跡に感嘆する。帰り道では、日向ぼっこ中のマムシやアオダイショウにコンニチハと挨拶。案内してくれたガイドからは、ナラ枯れの被害が拡大していること、増えすぎたシカによる食害が深刻なことを、豊かで素敵な森の案内と共に説明していただく。

ナラ枯れとシカの食害は、各地の森で耳にする課題である。1年のうち、わずかな期間しか森や山に出かける機会がない私たちにはどんな手伝いができるのだろうか、と自問する日々ではあるが、まずはこのような課題を知って、多くの人に知らせる事から始めてみよう!

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