ばんだい山

ばんだい山

<トムソーヤクラブ通信 Vol.63、2001/12/15、ふれあいランドより転載>

「雲にさわれるかなぁ!」「雲にのれるかも・・」「雲のなかはどうなっているの?」こんな期待と不思議をだいた小学生20名と共に、会津磐梯山(標高1819m)の山頂を目指す。

登りはじめのゆるやかな坂は、ブナの森に囲まれて涼しい風が吹き抜ける。「この木はみんなが知っているはずの木だけど、何だかわかる?」との問いに「ケヤキー」「マツー!」「サクラー」と知っている木の名が次々叫ばれる。「この木はイギリスでは森の母とよばれるよ。落ち葉がつもったフカフカの地面には水がたっぷり蓄えられ、木の実は冬眠を前にしたリスやネズミやクマの大切な食料になるよ」とのヒントに「ドングリー!」と叫ぶ声。「白神山地で一躍有名になった木といえば?」「ブナーッ!」と声があがる。「ピンポン!正解です」ホッとしながら返答する。

途中、裏磐梯側に展望のひらけた場所でひと休み。荒々しい火口跡を眺め、檜原湖・小野川湖・秋元湖を見下ろす。遙かにのぞむ飯豊連峰には残雪が白く輝いていた。「あっちの山の白いところは雪?」「夏なのに雪があるんだねー」「この山にも雪、残ってるかなー」「さわりたいねー」。同行の大人たちはニコニコとうなずく。

昼前に弘法清水にたどり着き、清冽な水でのどを潤す。小学2年生の女児も含めた一行は、すれちがう登山者の「こんにちは。みんな元気ねー」「ちいさいのにえらいなぁ」「もう少しだからがんばってね」との感嘆や励ましの声に後押しされて、山頂直下のガレ場をはい登っていく。登り始めてから3時間ほどで全員が登頂を果たした。さえぎるもののない360度の展望に声をあげ、流れる雲を見下ろす山の高さに、皆が誇らしげに胸をはる。

そして、下山をはじめてすぐのこと。幸運なことに私たちに向けて北東から雲がひとつせまってくるではないか。あたりがフワーっと白く包まれ、しばらくしてからパッと視界が元に戻る。「雲ってすずしいねえー」「さわるとつめたかったよ!」「ああー!なんにも見えないー!!」最後まで子どもたちの楽しい声いっぱいの山登りだった。

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